
憧れのリドレイに挑戦したいけどすぐに枯らしてしまいそうで怖い



難しいと聞くけど本当に育てられるのかな?
このような悩みを抱えていませんか。「森の王冠」とも呼ばれる美しいビカクシダ リドレイ。独特な姿に惹かれ、育ててみたいと思っている人も多いですよね。
しかし、「リドレイは栽培が難しい」という声を耳にして、一歩踏み出せずにいるかもしれません。
本記事では、植物好きのあなたに向けて、リドレイ栽培の「なぜ?」と「どうすれば?」を筆者の失敗談も交えながら詳しく解説します。
- リドレイが「難しい」といわれる5つの理由
- 枯らさずに育てるための5つのコツ
- 初心者がにオススメしたい株の種類
- 筆者のリアルな失敗談から学ぶ注意点
最後まで読めば、リドレイを美しく育てるための確かな知識と自信が手に入りますよ!ぜひ参考にしてください。


ビカクシダ リドレイが「難しい」といわれる5つの理由


ビカクシダ・リドレイが難しいとされる背景には、独特な生態に由来する以下5つの理由があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①原産地の環境と日本の気候のギャップが大きい
リドレイの故郷である東南アジアの熱帯雨林は、頻繁にスコールが降り湿度が高い一方で、常に風が吹き抜けて空気が循環しています。
しかし、日本の夏は同様に高温多湿でありながら、マンションのベランダや室内では風が滞留しがちです。



「無風状態」がリドレイにとって敵である「蒸れ」を引き起こすんです。
蒸れた環境では、根が呼吸できずに腐敗し始める「根腐れ」や、カビが繁殖しやすくなります。栽培失敗例のひとつとして、蒸れが原因で貯水葉や成長点が黒く傷んでしまうケースも。
日本の気候でリドレイを育てるには、いかに風通しを確保して、原産地の環境に近づけるかがポイントです。
②他のビカクシダと違う「貯水葉」の構造
多くのビカクシダが、スポンジのようにやわらかい貯水葉で水を蓄えるのに対し、リドレイの貯水葉は「硬い器のような形で落ち葉などを集める」という根本的な違いがあります。
特徴 | リドレイ | 一般的なビカクシダ |
---|---|---|
構造 | 薄く硬い器状。血管のように浮き出た葉脈の裏側にトンネル状の空洞がある。 | スポンジ状で柔らかい。株元に張り付くように広がる丸みを帯びた形状。 |
貯水能力 | 直接的な貯水能力はほとんどない。 | スポンジ状の構造により水分を貯える能力が高い。 |
栄養収集 | 器状の貯水葉で落ち葉などの有機物を集め、分解された養分を吸収する「ポケット」として機能。 | 枯れた貯水葉が重なり合って「土壌のような層」を形成し、有機物を蓄積し養分を供給。 |
根の保護 | 貯水葉の隙間に根を張り、急激な乾燥から根を守る。 | 貯水葉が根を覆い、保護する。 |
リドレイの貯水葉は「栄養を集めるポケット」としての役割のため、葉自体にハリがあり、水分が不足しても簡単にはしおれません。



リドレイの貯水葉は、水切れを起こしていても見た目に変化が現れにくく、「乾燥のサイン」を見逃しやすいんです。
逆に水をやりすぎると、器状の内部で湿気がこもり、根が蒸れていても外からはわかりにくいです。
乾燥にも過湿にも気付きにくい「サインのわかりにくさ」こそが、リドレイ栽培のハードルを上げています。
③根がデリケートで一度弱ると復活が困難
リドレイの根は、他の多くの植物に比べて細く繊細。過湿による根腐れや、水切れによる乾燥ダメージを受けやすい性質を持っています。



一度根が傷んでしまうと、新しい健康な根を再生させるのに時間とエネルギーが必要なんです。
根は植物全体の生命線を支える重要な器官であり、根が弱ると水分や養分を十分に吸収できなくなります。
結果として株全体の活力が失われ、病気に対する抵抗力も低下。一度調子を崩すと、そこから健康な状態に立て直すことが極めて難しくなるのです。
④ビカクシダのなかでもとくに寒さに弱い
熱帯雨林の気候に最適化されているリドレイは、ビカクシダのなかでも寒さへの耐性が低い品種です。
一般的にビカクシダは10℃程度まで耐える種類もありますが、リドレイの場合は最低でも15℃以上を維持することが元気に育てるための条件。
もし気温が10℃を下回るような環境に長時間置かれると、成長が止まるだけでなく、細胞が凍傷を起こして深刻なダメージを受けてしまう危険性が高いです。



とくに冬場の窓際は、日中は暖かくても夜間には外気の影響で急激に温度が下がります。
リドレイは、リビングの中央など、家のなかでも比較的温度が安定した場所へ移動させる配慮が不可欠です。
⑤成長がゆっくりで変化がわかりにくい
ビカクシダのなかでもポピュラーなビフルカツムなどが次々と新しい葉を展開するのに比べ、リドレイの成長スピードは緩やかです。



環境によっては、数ヶ月間まったく動きがないように見えることさえあります。リドレイの成長の遅さが、栽培管理を難しくさせる一因!
成長がゆっくりだと水やりや置き場所が適切なのか、それとも何か問題があるのか、判断がつきにくくなりますよね。
変化が見えない不安から、つい水をやりすぎたり、頻繁に置き場所を変えたりと過剰な世話をしてしまいがち。「よかれと思って」の行動が、かえってリドレイの調子を崩す原因になる場合もあるため注意しましょう。
ビカクシダ リドレイを枯らさず育てる失敗しない5つのコツ


リドレイが難しい理由を理解すれば、対策は見えてきます。失敗を避け、リドレイを元気に育てるためのコツを5つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【置き場所】「明るい日陰」と「風が抜ける場所」が最適
リドレイにとってのよい環境は、木漏れ日のようなやわらかい光が当たる場所です。
強い直射日光は、デリケートな葉を傷つける「葉焼け」の原因となるため避けましょう。室内であればレースカーテン越し、屋外であれば午前中だけ日が当たる軒下などが理想的な置き場所です。
そして、光と同様に重要なのが「風通し」です。常に空気が動くことで、病気の原因となる蒸れを効果的に防げます。室内で管理する場合は、サーキュレーターを使って空気を循環させるのが有効な手段です。



我が家でもサーキュレーターは常に稼働しています!
ただし、エアコンの乾燥した風が直接株に当たると葉が傷む原因になるため、風の向きには注意しましょう。


【水やり】基本は「乾いたらたっぷり」のメリハリ
リドレイの水やりで大切なのは、与える頻度ではなくタイミングです。
植え込み材である水苔を指で触ってみて、表面だけでなく内部までしっかりと乾いているか確認してから水を与えましょう。
与える際はシャワーなどを使い、株全体、とくに貯水葉の裏側まで水が行き渡るようにたっぷりと与えます。



「乾かす」と「潤す」のメリハリが、リドレイの健康な根を育てる秘訣です!
湿度を保つための霧吹き(葉水)は有効ですが、これはあくまで補助的なもの。水やり本体の代わりにはなりません。
季節や環境によりますが、夏は週に2〜3回、冬は1〜2週間に1回程度を目安に、乾き具合を確認する習慣をつけましょう!
【仕立て方】通気性抜群の「板付け」がオススメ
リドレイは本来、樹木に着生して生育する植物のため、生態に近い環境を再現できる「板付け」管理がオススメです。
板に付けることで、根の周りの通気性が格段に向上し、蒸れによる根腐れを防ぎやすくなるでしょう。
初心者の人がやりがちな鉢植えでの管理は、用土が乾きにくく過湿状態になりやすいため、水やり管理の難易度が上がります。



これからリドレイを始めるのであれば、ぜひ板付けに挑戦してみてください!
ヘゴ板・コルク・焼き杉板などに、水苔で根を包んだリドレイをテグスやワイヤーで固定すると、見た目もおしゃれな壁掛けグリーンが完成します。
【季節管理】四季に合わせた対策が必須
日本の四季に合わせて管理方法を切り替えることが、リドレイを枯らさないために不可欠です。
リドレイにとって過酷な季節は夏と冬。夏は、何よりも蒸れ対策が重要です。カーテン越しや遮光ネットで日差しを和らげ、風通しのよい場所に置くことを意識しましょう。
一方、冬は寒さ対策が優先課題です。最低気温が15℃を下回らないように温度管理を徹底します。



室内では、暖房の風が直接当たらない、明るく暖かい場所で管理してください。
冬は成長が緩やかになるため、水やりの頻度を落とし、乾かし気味に管理することが根腐れを防ぐポイントです。


【株選び】初心者は環境に慣れた「培養株(OC株)」
リドレイには、野生環境から採取された「ワイルド株」と、人工的に増やされた「培養株(OC株)」があります。
ワイルド株は野性味あふれる魅力がありますが、日本の気候に慣れておらず、管理が難しい上級者向けです。



初心者が最初に手にする一株としては、日本の栽培環境で生まれ育った培養株がオススメ!培養株は環境の変化に強く、比較的育てやすいのがメリットです。
購入する際は、葉の色つやがよく、株元がグラグラしていないか、中央の成長点がきれいな緑色をしているかなどを確認しましょう。
【体験談】筆者がリドレイの冬越しに失敗した2つの原因


筆者がリドレイの冬越しに失敗した主な原因は、「甘い温度管理」と「過剰な水やり」が重なったことです。
まず温度管理ですが、「他のビカクシダが大丈夫だから」という油断から、「最低気温10℃くらいなら平気だろう」と考え、冬の間もずっと室温調整をしていませんでした。



温度計を置いてみると、冷え込む日の明け方には室温が15℃を下回っていることも。
また、よかれと思って毎日霧吹きをし、さらに水苔が乾ききる前に水やりをしてしまいました。暖房が切れた夜間、低温状態で水苔が常に湿っているという「低温多湿」は、根腐れを引き起こす最悪の環境です。


筆者は経験から以下の点を学びました。
- 実際の置き場所の温度を正確に把握すること
- 冬は休眠期と割り切り、水やりは徹底して乾かし気味にすること
冬場は部屋の中央など温度変化の少ない場所に置き、水やりは焦らずじっくり待つことがリドレイを元気に育てるためには重要です!
ビカクシダ リドレイの種類と特徴


一口にリドレイといっても、いくつかの種類が存在します。基本的な育て方は同じですが、それぞれの特徴を知ると、より自分の好みや環境に合った一株を見つけられるでしょう。
代表的な以下3つのタイプを紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
スタンダードな「ノーマルタイプ」


市場で「リドレイ」として一般的に流通しているのが、ノーマルタイプです。特徴は、王冠のように大きく複雑な切れ込みが入る胞子葉と、ヘルメットのように硬く盛り上がる貯水葉。



リドレイのダイナミックな姿こそ、多くの人々を魅了するリドレイの真骨頂といえるでしょう。
特徴的な葉姿は、ワイルド株と培養株のどちらも存在し、同じノーマルタイプでも個体によって葉の形に個性が見られるのもおもしろい点。
大きく育て上げた株の存在感は圧倒的で、リドレイ本来の魅力を存分に味わいたい人はノーマルタイプから始めるのがオススメです!
小型で育てやすい「ドワーフタイプ」


リドレイを育てたいけれど、大きくなるのは困る人にオススメなのが、ドワーフタイプです。
「リドレイ・ドワーフ」などの名前で販売されており、ノーマルタイプに比べて全体的にコンパクトにまとまる性質を持っています。
葉の切れ込みなどもリドレイらしさを保ちつつ、成長しても場所を取らないため、マンションのベランダやリビングなど、限られたスペースでの栽培に最適です。



リドレイドワーフの葉姿は愛らしいですよね♡
基本的な性質や育て方はノーマルタイプと変わりませんが、体が小さい分より丁寧な管理を心がけるとよいでしょう。
希少価値の高い「細葉タイプ」や「シルバータイプ」


リドレイの栽培に慣れてくると、少し変わったタイプにも興味が湧いてくるかもしれません。



そんなコレクター心をくすぐるのが、選抜育種によって生まれた希少な品種たちです。
たとえば、胞子葉が通常よりも細く、シャープで繊細な印象を与える「細葉(ナローリーフ)タイプ」。
また、葉の表面を覆う白い毛(トリコーム)がとくに多く、全体が銀色がかって見える「シルバータイプ」など、個性的な品種が存在します。
リドレイの変わった品種は流通量が少なく、価格も高価になる傾向がありますが、他にはない美しさを持っています。
基本的な育て方は同じですが、希少な株ほど、より慎重な管理が求められるでしょう。
まとめ|ビカクシダ リドレイの難しいポイントを押さえて枯らさず育てよう!


ビカクシダ・リドレイの栽培が難しいといわれる理由と、対策について解説しました。難しいポイントさえ理解すれば、リドレイは決して育てられない植物ではありません。
リドレイを枯らさずに育てるポイントは以下の3つです。
- 蒸れと寒さに注意し、「風通しの確保」と「冬の保温」を意識する
- 「風通し」「水やり」「温度管理」の3点を徹底する
- 丈夫な培養株を選び、焦らずじっくり見守る姿勢をもつ
本記事で紹介したコツを実践すれば、あなたもきっと「森の王冠」を美しく育て上げられます。難しそうだと諦める前に、まずは挑戦してみませんか。リドレイがもたらす特別なグリーンライフがあなたを待っていますよ。
「ビカクシダリドレイは難しい」でよくある質問


「ビカクシダリドレイは難しい」についてよくある質問をまとめました。
- リドレイの成長速度はどのくらいですか?
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リドレイの成長は、他の一般的なビカクシダ(たとえばビフルカツム)と比較すると、ゆっくりな部類に入ります。
栽培環境が適切に整っている状態でも、1年間に新しい胞子葉と貯水葉がそれぞれ1枚から2枚程度展開するのが平均的なペースです。
とくに、お店で購入したばかりの幼苗の時期は、新しい環境に慣れるまでにエネルギーを使うため、成長がさらに遅く感じられるかもしれません。
- 貯水葉が枯れてきたのですが、剥がした方がいいですか?
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新しい貯水葉が成長してくると、下にある古い貯水葉が茶色く枯れてくることがあります。これは病気ではなく、植物の自然な新陳代謝なので心配はいりません。
枯れた貯水葉は、無理に剥がさない方がよいでしょう。この枯れた葉は株元の湿度を適度に保ったり、新しく伸びる根の足場になったりする重要な役割を担っています。
ただし、蒸れや病気が原因で貯水葉が黒く変色し、ブヨブヨと腐っている場合は腐った部分だけを清潔なハサミなどで取り除いてあげましょう。
- 胞子葉がなかなか出てきません。どうすればいいですか?
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胞子葉が出てこない場合、いくつかの原因が考えられます。まずは、株が健康な状態かどうかを確認しましょう。
根がしっかりと張っており、中央の成長点がきれいな緑色をしていれば、基本的には問題ありません。
そのうえで考えられるのは、日照不足や栄養不足です。現在よりも少し明るい場所に移動させてみたり、春から秋の成長期にかけて、規定よりも薄めた液体肥料を2週間に1回程度与えたりするのを試してみてください。
また、株がまだ小さい幼苗の場合や、植え替え直後は、まず株の土台となる貯水葉を展開させることを優先します。株の体力が充実してくれば、自然と美しい胞子葉を展開し始めます。
- オススメの販売店や購入方法はありますか?
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初めてリドレイを購入する場合、安心なのはビカクシダを専門的に扱っている園芸店や、生産者さんが直接運営しているオンラインストアです。
専門店や直営のオンライストアでは、株の状態がよいだけでなく、栽培環境に合わせた具体的な育て方のアドバイスをもらえることも。
最近ではフリマアプリやネットオークションでも手軽に購入できますが、珍しい株が見つかる一方で、写真だけで株の健康状態を判断しなければならないリスクも。
とくに初心者の人は、実際に自分の目で株の状態(葉の色つや、根の張り具合など)をしっかりと確認して選べる実店舗での購入をオススメします。